ミツバチからの贈り物
- 蜂蜜、蜜ろうだけじゃない?!



ミツバチからの贈り物。「はちみつ」と「蜜ろう」以外にもあるの?


働きバチによって作られているものとして、「はちみつ」や「蜜ろう」は有名ですよね。しかし、それ以外にもいろいろあります。ちょっと見てみましょう。



プロポリス

誰もが一度は聞いたことのあるプロポリス。英語では別名bee glueとも呼ばれます。プロポリスは、ミツバチが作った固形の樹脂です。働きバチが花粉や花の蜜を集めて来る時、一緒に水分や植物の樹脂も運んできます。そこにミツバチ自身の唾液を混ぜ合わせて、プロポリスを作っているのです。

「プロポリス」はもともとギリシャ語由来の言葉です。proは「〜のため」、polisは「街」の意味です。

ミツバチはそのプロポリスを巣の入り口に塗って通路を狭くし、外敵の侵入を防いでいます。また、巣の内側の壁に塗り、巣内を最適温度に保ったり、壁を補強したりもしています。

またプロポリスには、巣の内部のカビや細菌の繁殖を防ぐ役割もあります。例えば、昆虫やヤモリなどが巣に侵入し、そのまま巣の中で死んでしまった場合には、ミツバチはその死骸をプロポリスで包み、腐敗による巣へのダメージを防いでいます。

このように、抗菌、抗炎症、抗酸化、抗真菌の作用に優れているプロポリスを、人間もさまざまな症状の改善に用いています。



ローヤルゼリー


 ミツバチが作るものの中でも、未だ謎が多いローヤルゼリー。粘り気のある白いゼラチン質で、メスの働きバチの頭部から分泌される物質です。水、タンパク質、糖質、微量のビタミンC、そして多くのミネラルや酵素も含まれています。女王バチは生涯、このローヤルゼリーしか食べません。それでローヤルゼリーと呼ばれているのですね。

他の働きバチも生後2~3日間はローヤルゼリーを食べますが、4日目以降はビーブレッド(下記参照)を食べます。女王バチが4~5年間と長生きなのに対して、働きバチの寿命は5~7週間です。ずいぶん違いますね。女王バチが長生きできるのは、生涯にわたりローヤルゼリーだけを食べているからだと言われています。

また働きバチの幼虫は、ローヤルゼリーを貯蔵するほどのスペースもないほどの狭い巣穴に住んでいるので、生後2~3日間は用意できた量だけをその都度食べて過ごします。一方、女王バチの幼虫は特別に作られた広い巣穴に住んでおり、貯蔵スペースもしっかりあるので、好きなだけローヤルゼリーを食べられるのです。

この女王バチの幼虫のための巣穴から、ローヤルゼリーは収穫されます。

ローヤルゼリーは腐りやすいため、適切な扱い方・保存方法が必要とされます。

殺菌成分や抗アレルギー成分、抗炎症作用、免疫調整機能を持つローヤルゼリーは貴重な自然の恵みであり、古代から現代に至るまで、薬として使われてきました。



ビーブレッド


 ビーブレッドは、花粉、はちみつ、花の蜜からできた生成物で、女王バチ以外の全てのハチの食糧となっています。ビーブレッドは保存可能で、巣内に作り置きすることができます。働きバチの幼虫は、生後2~3日間だけはローヤルゼリーを与えられ、4日目以降はビーブレッドを食べます。ビーブレッドの研究はまだあまり進んでいませんが、抗酸化作用や、抗菌・抗真菌作用があることがわかっています。



ハチ毒


 ハチに刺された時の「イタッ!」というあの感覚。誰もが一度は経験したことがあるのではないでしょうか。ミツバチは自らの身体や巣を守るために、胴体の端にある針で相手を刺し、その針からハチ毒を出します。ハチ毒はアピシトキシンと呼ばれる透明な液体す。ハチに刺されると、痛みだけではなく、周辺が腫れがったり、極端な例では強いアレルギー反応を引き起こすことがありますハチは何かを刺すと、その後は死んでしまうという運命にあるのですが、人間はハチに害を与えることなく、そのハチだけを採取して有効に利用しています。

例えば、人間がハチに刺された時の強いアレルギー反応を軽減するための薬として使われています。また、抗炎症作用もあるため、慢性的なや、リウマチなどの関節炎にも使われています。さらにスキンケア商品にもハチ毒が有効活用されています。

また最近の代替療法としてのミツバチ療法は、さまざまな疾病の治療改善と、健康促進を目的として、ハチ毒などのミツバチからの産物が使われているのですね。


(注意)臨床実験によるとハチ毒によるアレルギー反応は決してまれではなく、程度も軽度から重度まで多岐に渡ります。ハチ毒を使用した商品を使用する際は、事前に医師に相談してください。